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「じゃあ素敵な句を読めたから、1個食べるね」
「ふぇ?」
「ふぇ? じゃなくてお月見団子ね」
そんな約束したはずないのに、嬉しくてニヤけそうな顔を必死に我慢してる私の頭を撫でてくれた。
暖かくて大きな手が私の髪に触れ、温もりを肌へ伝える。
どこにも行かないで。
不意に湧いた言葉に、込み上げる感情が溢れ出しそうで、堪らなくなって俯いてしまった。
「早くいい句を詠まなきゃ全部食べちゃうよ?」
絵本のように盛っていたお団子は、いつの間にか半分のサイズになっていた。
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