女子高生が戦国オタクって変ですか?

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「・・・姫様のおじいさま?」 参は刀を構えるのを辞めても疑いの目で私とおじいちゃんを見ている。 「そ、そうなの、わたしのおじいちゃん!」 私は、蔵から出ておじいちゃんの元に行く。明るい場所に出るとなぜだかほっとした。おじいちゃんもいるし、あの蔵の中にいると自分が自分でなくなる気がしたからだ。参はじっと薄暗い蔵の中から私に向かって手を伸ばすも出てこなかった。 「・・・姫様はおじいさまのことは覚えてるんですね。」 少し距離があるのに参の声は凛とよく響いた。そしてようやく一歩、また一歩明るい私たちのいるところに近づいてくる。 「・・・僕のことはお忘れだったのに。」 私に作り笑顔を向けた後、おじいちゃんには怒りを込めた顔で凝視している。 おじいちゃんは、わなわな震えだすとその場で腰が抜けたように崩れ落ちてしまった。 「おじいちゃん!!・・・あの、ちょっとしたら必ず戻るから、だから、このまま動かずにそこにいて!」 私はおじいちゃんを助け起こし、参に向かって言った。参は笑顔で私に向き直る。 「ええ、お待ちしてます、ずっとここで。だから必ず戻ってきてくださいね?」 私はがくがく頷くとこの場所から一番近い仏壇がある部屋におじいちゃんの体を支えながら移動する。一度だけ、振り向いたとき、参は私をじっと、じっと見ていた。
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