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意識を飛ばされる前、七は大好きな姫様以外何人かの人影を見た。
「あ・・・。」
姫様の周りにいつもいる大事な兄弟。姫様といる時間はとても好きだけど、兄弟と過ごす時間も七にとっては同じくらい大切な時間だった。
「ねえ、みんな、私と八を置いて行かないで・・・。」
声を大にして言ったのに皆、気づかず、姫様と楽しそうに話しながら遠くに行こうとする。
「皆と一緒にいたいよ・・・。」
幼い子供のように大粒の涙が頬を伝う。でも誰も七の涙に気付かない。七は一番に慕っていた兄の、壱を心の中で呼んだ。
返事はなかった。
待ってもなくて、諦めそうになった時、
「必ず、お前たちを助けるから。」
壱の声が聞こえた気がした。七はその声を聞くと安心して微笑み、深い眠りについた。
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