15人が本棚に入れています
本棚に追加
/116ページ
お昼休みの半分が過ぎ、私と参はなんとなく屋上で黙ったまま静かな時間を過ごしていた。
心地いい日差し。心地いい風。
「話をしなくても心地いい時間ってあるんですね。」
参も同じことを思っていたみたいだ。にっこり笑った顔にまた心臓が早くなる。
「そうだね!!」
つい、力んで言ってしまう。恥ずかしくて、私は予習がてら、教科書を眺めた。
「こんな優しい時間がずっと続けばいいのに。姫様が傷つかず、悲しむことのない時代になりますように。」
参が何か言った気がした。しかし、強く吹いた風によってあまり聞こえなかった。聞き返すと、
「殺戮人形らしからぬ願いです。」
・・・参は、ほんの少しずつ変わってきてるのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!