七と八

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帰りの時間。参と帰らなきゃいけないけど、イケメンの参の周りには女子たちが群がっていて、私が教室を出て時間をおいてからうまく出てくるように、参には言った。 それを伝えたのは昼休みの終わりで、参が、家に一緒に帰れるまでまだ長いと言ったからだ。その時にこの参とどうやって一緒に帰るかが問題だった。参は頭が良く、一度教えたことはすぐできるみたいで家までの道のりは参はしっかり記憶しているのだけど、参は殺戮人形だ。誰かにさらわれるようなことはないと思うけれど、誰かを謝って傷つけたら一大事だ。もちろん、ごめんなさいで済む話ではない。そのために私がきっちり見張っていないといけないと思う。・・・参が他の女子と歩く姿を見たくないってのもあるけど。 「お待たせしました!」 教室から見えない、裏門のところに待っていると、参がようやく来た。 「・・・皆を傷つけるようなことは言ってないよね?」 「はい!トイレに行きたいと言って・・・ここまで来ました。あ。鞄、忘れてしまいました。」 参は得意げに言った後、ここまで来ることに夢中になったせいか、朝持ってきた鞄の存在を忘れてしまったみたいだ。 「参のお弁当箱は私がさっき受け取ったし、今日は宿題がないから忘れても大丈夫だよ。明日からは気を付けたほうがいいけど。」
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