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「冥府に行きましょう。」
僕が静かに歌うように刀を取る。
「やめて・・・やめて!!!来ないでよぉおおお!!」
男か女か、年寄か若い者か分からない。
興味もない。ただ僕は僕の役目を果たすまで。
僕はこの国の姫のために、戦うまで。
・・・・・・・・・・・・・・そして僕が人間になるため。
いつの間に僕の足元にはバラバラの人間だったものが転がっている。
「おい、参!」
仲間の七と八が僕の元に駆け寄る。
七が人間の頭だったものをお手玉のように遊んでいる。
「おまえ、どんだけ斬った?俺は一つの村つぶすくらいかな。」
遊び人風情の八は挑発するような目で僕に問いかける。
「・・・さあ。」
僕の着物は血がこびりつき元の着物の色が分からない状態になっている。
「冷たいなあ。」
くくく、そう低く笑う八の口を七が手で静かにと塞ぐ。
「まずい、織田軍の気配がする。」
今日は私も十分に斬った、今日は退こう、そう七は言うとものすごい速さで自分たちの城に向かっていく。
「待てよ!」
八もそれに続き僕も駆け出した。
今から走ればどんなに優秀な馬に乗っていても追いつけないだろう、僕たちは馬は持っていないけど人間たちにはない力がある。・・・殺戮人形だからな。
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