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100ポイント
「良いことをすると、そのひとには国から1ポイント贈与します。合計100ポイントを獲得したひとは国の英雄として称えます」
国民の運命がポイント制で決まる国、ギフテット。
ギフテットに住む、貴賎を貧富を問わない老若男女たちは国王が定めた100ポイントを獲得すべく、さまざまな良いことを模索しながら独自に文化を築き上げて来た。
作った料理や衣類を、身寄りなき老人に無料で提供したり、子供の世話をしたり、街路の清掃をしたり。そんな中、100ポイントたまったものは現れなかった。
国民は100ポイント獲得したら何が起こるのか、具体的に知るものは誰もいない。
「わたしたちはこれだけやっているのに、どうしてポイントが貯まらないのかしら?」
ホームレスバザーの女店主ラレッテ・サレッタ・ミコスッタが呟いた。店の周りにはバザーのテントに並ぶホームレスの姿がちらほらと見える。
「100ポイント政策は、あたしたち一般市民を動かすための嘘の政策じゃない? でもこんな話があるけど、知ってる?」
ラレッテの隣で商品を売るサマンサ・ダベサは高くそびえ立つギフテット城を眺めながら、そう答える。
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