春夏秋冬~秋~(過激表現あり)

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「御子柴さんすごいよ!ほら!お風呂ある!」 「……ガキか…」 「海も見える!」 「良かったな…」 精神年齢が10個ほど若返ったような後輩の姿に戸惑いを隠せない。 裕福な家庭の彼がこんな普通の旅館にこんなにも感動するとは予想外だ。 「お前んちなら海外とか行ってんじゃねーの?」 「旅行なんて行ったことないよ。親父はずっと仕事だし…」 「そうか…」 「入りましょうよ!」 「どうぞ。」 「一緒に入るに決まってるでしょ。」 「嫌だよ…」 「ほらほら、早く。」 「嫌って言ってるんだけど!おい!」 キラキラした顔で言われてしぶしぶ一緒に入ることにした。 裸は見慣れているし見られているのだが、なんとなく落ち着かない。 まだ日のあるうちの外で裸になるのが躊躇われた。 「内風呂で露天風呂ってすごい贅沢ですね。」 「はぁ…」 「御子柴さんこっち。ここ、座って。」 「は?やだよ自分で洗うわ。」 「いいから。どうせ適当にしか洗わないんだから。俺がやる。」 「うわ、ちょ、ま!」 引っ張られて前につんのめる。幸いにも冷たく固いタイルに激突することなく治樹の体に支えられた。 がっしりとした体つき。それに比べて自分は…平たく骨ばった貧相な体。 「え、何不機嫌になってんすか。」 「別に…」 「えー気になる。」 備え付けのボディソープを手にたっぷり取って背中、腕、足と順繰り塗りたくられた。 ぬるぬるとした感覚と人にやられているむず痒さに声が出そうになる。 首筋や足の付け根なども丹念に洗われると思わずと息が漏れた。 「感じてるの?」 「ん、なわけ…んっ…」 「じゃぁ…ここは?」 「ひゃぁんっ!」 脇腹からするりと胸と腹を洗われる。泡にまみれた指が乳首に触れると一段と大きな声が出てしまった。 抵抗するもそこを執拗に弄られて勃ちかけていたものが完全に反り返り腹にくっつきそうになっていた。 乳首だけじゃなくて前も触ってほしい。そう口に出来ないのでなんとか体を治樹に摺り寄せる。悠精一杯のおねだりだったが治樹はそれを知ってか知らずかすぐに泡を流すべくシャワーに手をかけた。 「な……お前……」 「え?どうしたの?」 「……いい。」 「じゃぁ次シャンプーね。」 洗い終わって二人で湯舟につかる。 先ほど中途半端にいじられた悠はもんもんとしていた。 触ってほしいが、そんな浅はかな自分が嫌だった。 「来年も来ようね。」 「え…?」 「再来年も。ずっと。」 「……お互い生きてればな。」 「簡単には死にませんよ。」 その言葉に胸が高鳴る。女将の言葉が脳内で反芻された。 自分が、幸せになっていいのだろうか。 「御子柴さん、こっちきて。」 「……何する気だ。」 「んー、いちゃいちゃ?」 「……素面でよく言えるなそんなこと。」 「って言いつつちゃんとこっち来てくれるアンタも大概じゃん?……いたたたた!!何するんすか!」 「そのにやけ面に一発かまそうと思って。」 整った顔が変に歪むさまが面白くて笑った。こんな風に笑えるようになったのだ。 「その顔、良いですよ。むっつり顔もそそるけど。」 「発情期野郎め。って、おい、ここでするのか…?外、見られたら…」 「大丈夫大丈夫。ここ離れだし、見られないよ。」 お湯の中に潜んだ治樹の手が、指が、悠の体に触れた。屋外だからかいつも以上に触れる感覚に敏感になっているような気がする。 そしてどこから出したか、いつの間にか手にはローションのボトルが握られていた。それも新しいやつだ。 「お前、そんなもの持ってきたのかよ…」 「もちろん!ないと痛いのは御子柴さんですよ?」 「すること前提か。」 「じゃ、ここに座って自分で股開いて。」 「……は?」 まだ太陽がいる時間帯。ほんの少しだけ股を開くと無理矢理その何倍も開かされた。 既に半勃ちのそこを握って口に迎い入れた。温かい口内と舌の刺激は果てるまでに時間を有さない。 「はぁ、あ、やめ、もう、ぃくぅ…!」 「いいよ、出して。」 堪えていたものを解き放つように、彼の口内へ吐精した。 だらりと口の中に出されたものをわざと見せつけるように掌に吐き出す。赤い舌と白濁した液体の対比が生々しい。 かっと羞恥の熱が顔を赤らめるも気怠い体では何も悪態がつけなかった。 それよりもどうもまだ物足りない、この欲に忠実な体が憎い。 「お尻、こっち向けて。」 言われた通り、温泉の淵に手をかけ四つん這いになる。まるで雌のように。 男らしい大きな指が後孔から侵入してくる。時折前立腺にも触れてきた。 「あ、そういえば。」 「はぁ、んぁ、な、に…」 「御子柴さん前だけでイけたね。良かったじゃん。いつもお尻触らないとイけないのは大変だもんねぇ。」 「……ぅるさい…」 「俺のおかげだね。うれしい。もっと俺に染まってもらわないと。」 そういうと後ろからぐぐっと突き立てた。 痛みはないが、後背位での行為は最初のころを思い起こされひやりとする。 今はあのころのようなことはしない。治樹は悠をとても大事に抱いてきた。 だがそれでも長年培われた恐怖はそう簡単には拭えないようだ。 「やだ、うしろ、こわ、みえないっ」 「え…?ああ、ごめんね。でもここで寝るのは痛いよなぁ…あ、じゃぁ…」 ぐいっと体を抱き起して治樹が淵に腰掛ける。身体の重さでさらに深く奥まで咥え込んだので、その刺激で甘い声が漏れた。 対面している男がこちらを熱の籠った瞳でじっと見ている。耐えきれずふいと逸らしたがなんとなく悔しくて睨みつけてみた。 「ねぇ、俺の事好き?」 再び頬が熱くなる。もう認めているも同じことなのだがそれを言えずにいた。 だがこの体勢ではどうあがいても逃げられないだろう。 「きらいじゃない……今は」 「ふっ、御子柴さんらしいなぁ。」 腕をまわすよう言われ、首の後ろにまわすと腰を掴まれ下から乱暴に突き上げられた。 一番奥を太い雄で突かれるたびにまた快楽の波が襲ってくる。 気持ちいい、もっと突いて、もっと強く、愛して、離さないで。 そう言えない代わりに強く抱きしめた。 「いい、気持ちいい…このまま出していい?」 「んぁ、は、ん、きくなっ…!」 「じゃぁ中に出すね…いっぱい出してあげるから…」 一段とがつんと奥を突くと悠の体もびくびく震えて果てた。しかし先端からはもう何も出ない。絶頂の快楽だけが随分と長く持続した。 「ああ…大丈夫?」 半開きの口に軽い口付けをする。まだ気持ちよさが続いていて何も言葉が出てこない。 (なんだこれは。) 「御子柴さん、メスイキしちゃった?そんなに気持ちよかったの?」 「め、す…?」 「女みたいにイくことだよ。ほら、精子全然出てないけど中はびくびく痙攣してる。そんなに俺のちんこ良かった?」 「…るさ、いっ…」 ゆっくり引き抜くと結合部分からどろりと白濁液が流れ出た。 変な体位でやっていたからか体の至る所が悲鳴をあげている。足はがくがく震えて一歩前に出ない。 面倒に思われた治樹によってひょいと抱き上げられ身体を清めてから畳みの床に寝転がる。痛い痛いとぶつぶつ呟いても当の本人はどこ吹く風で、冷蔵庫から取り出したらしい水をぐびぐび飲んでいる。 「お前、俺に詫びでも入れたらどうだ!」 「欲しがったのはそっちでしょ?」 「ほし…!?もういい!少し寝る!」 「床痛くないですか?」 「うるさい!!」 襖を開けると綺麗に置かれた布団が出てきたので、それを敷いて床に蹲る悠を再び抱き上げて布団に寝かせる。 ぶつくさ文句を垂れていた悠だったがすぐに寝息が聞こえてきた。 治樹は悠の投げ出された四肢を眺めて思う。だいぶ肉付きが良くなってきた。最初であった頃は本当に細くて、少し力を入れれば折れると思ったくらい。 あの部屋の様子と味覚のことを考えると恐らくろくなものを口にしていなかった。ここまでまともな人間に育て上げた達成感をひしひしと感じていた。 (最初こそ、ああだったけど…) 今は後悔している。あんな風に乱暴に扱ったことを。こんなにも愛おしく思える日が来るなんて思わなかった。 手の甲にちゅっとキスをするとくすぐったかったのかひゅっと手を引っ込めて眉間に皺を寄せる。 「失礼します。今大丈夫かしら?」 「どうぞ。」 「夕食なんだけど…あら、悠ちゃん寝ちゃったの?」 「ええ。ぐっすりです。夕食ですか?いただきます。」 「悠ちゃんいつも食べないから、今日はどうしようか聞こうとおもったのに。」 「彼のもお願いします。今はちゃんと食べてますよ。」 「あらそうなの?良かった。鷹橋さん、だったわよね?悠ちゃんとうまくやれてる?」 それがどういう意味なのか。プライベートなのか仕事なのか…とりあえず笑顔ではいと言っておいた。 「前来たときよりずいぶん顔色も表情も良くなっていたから貴方のおかげね。ありがとう。」 「いえいえ…」 「この子のこと、本気よね?」 女将は真っすぐに治樹を見た。子を守る母のようなその表情。きっと彼女の中でも悠の存在は大きいのだろう。 「勿論です。俺の人生全て捧げてますから。」 「あらあら!今夜はいいお酒入れないと!飲める?」 「はい。楽しみです。」 女将は嬉しそうに軽やかな足取りで食事の支度をするべく厨房へ向かった。 まだ眠っている。さて、持て余した時間をどうしようかと思った。とりあえず窓を開けて景色でも見よう。そう思って立ち上がった。
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