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春夏秋冬~冬~(受けの自慰表現、過激表現あり)
冬。
日暮れが早まり街並みはキラキラと輝く冬がきた。今月で今年も終わる。
この年末というのは物騒なことが増える時期でもある。年末だからといって、休めるわけではない。寧ろ嫌なことに繁忙期になるのだ。
それはどこの課でも同じ。事件も増えるし事故も増える。庁内はいつも以上に慌ただしかった。
「というわけで、多々良と鷹橋が一週間ほど一課の事件を手伝うことになった。気張っていけよ!で、一課に出来るだけ貸を作ってこい!」
随分と難航しているヤマらしく、猫の手も借りたい状況のようでここ対策室にもお声がかかった。
「どうした。鷹橋がいなくなって寂しいのか?」
「は!?ちげぇよ!!」
「まぁまぁ一週間の辛抱だ。お父さんがよしよししてやろう。」
「うぜぇ…」
「大庭!悠が反抗期だ!」
「室長、いつもです。」
このため一時的にバディ解消だ。久しぶりに一人で案件に取り組むことになる。
いつも隣にいる長身がいないのはなんだか落ち着かない。どこからか隙間風が入り込んでいるような空虚感。ファイルとバイクの鍵を持って現場に向かった。
「一週間…」
(長いな。)
支倉の言葉が蘇る。寂しい、なんて絶対に認めてやらない。悠は目の前の捜査対象の自宅を睨みつけた。
「一週間ですか…長いですねぇ。」
「俺は新鮮でいいけどなぁ。悠が心配?」
多々良が笑いながら缶コーヒーを手渡してきた。捜査会議が終わりそれぞれ持ち場につく。
二人は手伝い要員として駆り出されたが、捜査については一課の指示があるまで会議室で待機することになっている。
その間もホワイトボードで事件を整理したりとやることは多いのだが。
「心配、というか…」
「悠と付き合ってんの?」
「あれ、何か聞いてます?」
「この前悠に聞いたらめちゃくちゃ怒鳴られた。」
「はは…俺の片思いですよ。」
ホワイトボードに張り出された容疑者たちの写真を並べて清書する。
多々良は書類整理を始めた。
「あ、まずいですか?職場的に。」
「いんや。てか室長の奥さんも警官だし。」
「え!?あ、そうだったんですね。」
「辞めちゃったけどなーお子さん産まれたときに。まぁ、俺と大庭さんは応援するよ。仕事に支障きたさない限りな!」
一課からお声がかかる。警察手帳をきちんと所持しているか確かめ、多々良と二人現場に向かった。
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