春夏秋冬~春~(過激表現、無理矢理、暴行表現あり)

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支倉からたまには自宅に帰れと言われ、悠は街灯の多い大通りを歩いていた。 暗闇が苦手だ。 あのことを思い出すから。 しかしアパート付近はどうしても薄暗くなる。小走りでエレベーターに乗り込んだ。 ここは24時間管理人が常駐しているところだ。ずっと電気が煌々と光っている。 だからここを選んだ。 自宅の扉を開けると最奥が見えないこの瞬間が一番嫌いだ。急いで玄関脇のライトをつける。それから部屋全てのライトを。 これが彼の帰宅後の日課だった。 冷蔵庫から水を取り出す。それから引き出しにあるカロリー補給剤を一つ口に含む。 味なんてものは物心ついたころから感じられなかった。味覚障害だけは今も治っていない。 がらんどうな室内におかれたソファに腰掛けぼーっとする。眠気がくれば勝手に眠るだろう。 それがくる前にシャワーを浴びた。濡れた髪の毛をタオルでガシガシと拭いて再びソファに座った。 振動音が聞こえる。ジャンパーの上着を弄ると普段使わないスマートフォンが明かりをつけて震えている。 着信の相手は鷹橋と出ていた。相手も早々に帰宅したはずだ。 それをとらずに放置していても振動音は消えない。苛々が募る。仕方なくそれに手をかけ耳に当てた。 「何。」 『あー支倉さん?おれですーあ、みこしばさんの方がいいですかぁ?』 とって損した。ただの酔っ払いの相手なんてごめんだ。切ろうとしたとき治樹の言葉に硬直する。 『あんたウリやってたんすか~?それに裏口入庁って本当にあったんすね~あれ?もしもし?もしもーし聞こえてますかー?』 心臓がドクンと耳が壊れるほど鳴り響いた。 再び通話口を耳に当てると相手も繋がったと思ったらしくまたペラペラと楽しくおしゃべりを再開する。 『これバレちゃったらあんたも支倉しつちょーもどうなっちゃうんですかね~?パパが職無しになっちゃいますよー』 「……テメェ何言ってやがる…」 『今ここで飲んでるんで、暇でしょ?来てくださいよー一緒にのみましょー』 ぷつりと電話が切れ、店のURLがはられたメールが届いた。 はったりかもしれない。行けばこの件を認めることになる。しかし行かなければこの話を他にされてしまうかもしれない。 再びジャンパーを羽織って指定された場所に出向いていた。 自分は良い。自分はどうなっても誰の得にも損にもならない。けれど義父は違う。彼には家庭もある。 指定された店はいかにもな大衆居酒屋だ。入ったことすらない場所だからと躊躇してられるはずもなく、のれんをくぐって中に入る。 鷹橋を探すと店員が気付いたようで奥の座敷を案内してくれた。 そこには酒瓶を転がした普段とはまるで違いすぎる男の飲んだくれた姿があった。 「お、早いっすね~」 「お前、どういうつもりだ。」 「おねーさんこの人に生一つ。」 「いらねぇ。おい、質問に答えろ。」 「えーと、支倉悠さん…じゃなくて御子柴悠さん。あんた施設の出だったんだねぇ。まぁ両親揃ってクズじゃぁ仕方ないか。で、施設から脱走してウリして金稼いでいたんだっけ。」 「……」 「で、どうやって入ったんです?そんなに簡単に入れるんですか?警視庁。」 目が据わった治樹は数枚の書類をこちらに投げつけてきた。どうやら資料をコピーしたものらしい。 書類に目を通すと昔補導されたときの供述調書だった。 治樹を睨むとニヤつく顔がおさえられないというように安酒を煽っていた。 空になったジョッキをテーブルに乱雑に置き、そして会計をゆうに超える額の紙幣を叩きつけかけていたスーツのジャケットを羽織った。 悠の腕を掴み耳元でぼそりと呟いた。 「……ここじゃなくて別の場所で話しましょう…」 腕に爪が食い込む。離せと喚いても掴まれた腕はびくともしない。 治樹は180を超える長身だ。それに対し悠は170もない。力の差は歴然である。 引っ張られるままついていくと新宿繁華街のある通りに入っていった。 「え……」 装いは変わっているが知っている匂いがする。心臓が危険信号を伝えてきた。 ここは、あの場所、二度と足を踏み入れないと誓った、あの、 「あれぇ?どうしました?震えてますよ…?」 「……てめ…なんのつもり…」 「なじみの店なんですよ~ささ、どーぞ。」 古びたビルの地下に続く階段。この先を悠は知っている。昔と変わらなければ。 重厚な扉の向こうはきつい香水が何種類も混じった淀んだ空気を醸していた。 手前のバーカウンターではバーテンダーが客にアルコールを振る舞っている。 治樹は店員から一番奥の部屋へと案内され、しっかりとつかんだ腕を離すまいとしている。 悠の呼吸は店の佇まいを見てから更に加速された。 「この辺り…あんたが客を釣っていたとこでしたっけ?男相手?それとも女?」 「……」 「体売ってどのくらい稼いだの?見ず知らずのやつとヤるのってどんな気分?ねぇ教えてくださいよ。」 「……るさい…早く離せ…!」 捕まれていない右腕を振りかぶり彼の頬を直撃する。幸いにも腕の拘束が緩み部屋から出て行こうとした。 ドアノブをガチャガチャと捻るも扉は開かない。それが焦りを呼ぶ。その扉にこぶしがめり込んだ。 ぎょっとして後ろを振り返ると口元を血で滲ませた治樹が凶悪犯さながらの顔でこちらを見下ろしている。 彼の右足が悠のみぞおちに入る。大した量ではないが胃の内容物がこみ上げて床を汚した。 涙目で咳き込むと頭から水を浴びせられる。 「ここは中からじゃ開かねえんだよ。今俺があんたを殺しても誰にもバレることはない。」 「ぐ……け、さつかんの…せりふかよ…」 「あんたに言われたくないね。俺は警視総監の息子ですよ…?どうとでもなるんだよ…」 鷲掴みにしていた髪の毛をぱっと離したと思うと徐に置かれていたワインを開けそのまま口付けて飲む。 度数の高いはずのそれはまるで水のように彼の中におさまってしまった。 空いた瓶を適当に放り再び悠に向き直る。 先ほどの一撃で体が重い。機動力に自信はあったのだがもうそれも何にも成さない。 「で、どっち相手にヤってたの?」 「……両方…」 「へー。やっぱり男相手だとアナルセックス?」 「……」 「俺ちょっと興味あるんすよね。前彼女とやってみたんですけど全然できなくて萎えちゃいました。」 「……お前何なんだよ…早くここから出せよ…!」 「いいですよ。じゃぁ次んとこ行きましょうか。」 その部屋の後ろには小さな出入口がある。そこから出てすぐ隣のビルに移動出来る仕組みだ。 それだけ危ない橋を渡る顧客が使用するのだろう。 再び治樹に連れていかれたそのビルこそ、悠にとって最も目にしたくない場所だった。 ビルに入り右手側に古びたエレベーターがある。二人で乗り込むともう誰も乗れるスペースのない小さなエレベーターだった。 「!いやだ!出せ!」 ビル内は薄暗い。周りにあるものは視界で確認できるものの暗闇でしかも恐ろしい男と同伴など危険もいいとこである。 エレベーターは無情にも動き出し、冷や汗がだらだらと滴り落ちる。 しばらくすると目的の階に辿り着いたのかゆっくりと扉が開いた。 開いた先は、一寸先も見えない闇。 「あかり…あかり…」 ぱちんとはじくとこちらも古そうな照明が点灯する。 それに少し安堵して呼吸を整える。 すぐそこにあった扉を開くと記憶の底に押し付けて封印してきたものがまざまざと蘇ってきた。 一言も発さず身動きすら取れない。治樹はジャケットを脱ぎネクタイを外してその辺に放る。 淫靡な雰囲気のそこには唯一手入れがされているようなベッドがあり、どかりと腰掛けた。 「脱げよ。」 「……は?」 「早く。あ、後ろ向きで脱げよ。股間にぶら下がってんの見たら萎えるから。」 「…お前…頭おかしーんじゃねぇか…?なんのつもりだよ…!」 涙声で抵抗を見せる悠に苛立ちが募ったのか無理矢理ベッドに押し倒し着ているものを全て剥ぎ取った。 全裸で腰を高くあげさせると後孔が目に入った。その辺に置かれているローションを手にたっぷりととって指を挿入する。 「!!ひっ…!ぬけ、はやく…!」 だが入れてすぐに違和感に気付いた。 「御子柴さん…あんた彼氏でもいるの?」 「いねぇよ!」 「へぇ…じゃぁセフレ?」 「だから!」 「じゃぁどうしてこんなに柔らかいの?10年も前の話でしょ?……ああもしかして…支倉室長を想って一人でシてたり…?」 耳元で低い声が響く。体がびくっと反応して顔中に熱が集まる。 「し…してない…」 「ふぅん…まぁいいやこれならもう入るよね。」 慣らしもそこそこに己のをそこにあてがう。力任せに中に押し込むと入り口付近が少し裂けたようで血が滲んだ。 「あっ…!がはっ…」 「あらら、ちょっといきなりすぎた?」 「も…ぬけ…やめ…」 「ちょっと喋んないでよ。萎えるだろ?」 ネクタイで悠の口を塞ぐ。昔彼女から貰ったものだが後で処分しようと決めた。 出血はしたがそのぬめりとローションのおかげでうまく律動することが出来た。 最奥を突くたびにネクタイで塞がれた口から苦し気な声が漏れる。 治樹は予想以上の刺激に悦んだ。これは確かに気持ちがいい。恐らく女の膣以上だ。 絶妙な締め付け具合に腰が動いてしまう。 「ごめ…さい…はな…せんせ…いや…」 「だから喋んなって!」 「ごめんなさい!ごめんなさい!ゆるして!はなだせんせ…!」 「……え?」 悠は目を虚ろにさせわけの分からない言葉を叫んでいる。こんなに大声が出るんだ。ではなくて。 はなだせんせいとは何者なのだろうか。その者と治樹を重ねているのだろうか。自分以外が目に映っているようで心底腹立たしい。 その謝罪の叫びには返答せず、ただ腰を、雄を、彼の中へと打ち付けた。八つ当たりにも似たその行為は止められない。 「そろそろ…中に出すよ……っっ…!」 もみくちゃにされた悠の虚ろな顔がそこにはあった。 あの憎き男が目の前で体液塗れになっているその征服感たるや。心臓の鼓動が煩すぎる。 「このことは二人だけの秘密にしましょーね…チクったら…」 『分かるよね』耳元でぼそりと呟く。彼の反応はない。聞いてるのだろうか。 そのままシャワー室に入り汗などを洗い流すと幾分さっぱりした。 隣にはバスタブがある。風呂に入ろうか。こんなことをしておいて、風呂の有無について迷うとは。自分が恐ろしいとさえ思った。 結局風呂はあきらめて外に出ると悠はもういなかった。あれだけの仕打ちをされてよく動けるものだ。 体だけは最低限鍛えてあるらしい。 大きなベッドに倒れ込むとそのまま眠りについた。
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