2つの宝物

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2つの宝物

部屋に向かった俺は入った途端体が固まった。 柴崎の部屋は高校生の部屋にしてはキレイに片付いていた。 キレイに片付いていた。 捻挫の時に来た時よりも。 飾ってあった中学のユニフォームは? 地区大会の賞状は? 小さなトロフィーの数々は? 本棚にパンパンに入っていた バスケ雑誌はどこにいったんだ。 「何もないけど、どうぞ。って言ったでしょう」 冷茶を持って柴崎が後ろに立っていた。 「お前、これ・・・」 「もう夢にもならないものは、いらないでしょう?あ、楽に座ってください」 勧められて根屋は腰をおろす。 「俺さあ、他の奴からお前が部活辞めるかもって聞いたんだけど」 納得いかない顔で根屋は柴崎に詰めよる。 「同い年って口が軽いなあ」 やんわりと笑顔を見せる。 「見学でも国体来れるだろ?部活だって今までみたいに」 「根屋先輩。俺、やりたかったバスケできなくなったのに 国体なんか見たい訳ないでしょう?」 根屋は言葉につまる。 「マネージャーだって、ウチは人数がいる。わざわざ俺が居残る必要なんてない。 ちょっとコートに入る口実が欲しかっただけなんですよ。もうすぐ大事なものを1つ手放します」 「そしてその後、もう1つの宝物も手放すんです。 今までの俺はその2つの宝物で充実していた」 『2つの宝物?』
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