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社内コンペ用のデザインを描いていたら夢中になり、時間を見てなかった。
待ち合わせの時間になり、俺が来ないからと、現場監督の内藤さんが俺に電話をくれた。
それで、慌ててオフィスビルから飛び出し、社用車で現場へ向かった。
30分も遅刻してしまった。
久しぶりに会う、麻衣。
社会人になりオフィス仕様の清楚な装いをして、丁寧にメイクを施すようになった麻衣は大学生の頃よりもさらに美しくなった。
麻衣が持っていたタブレットを覗くと、内装デザインを仕上げていて、それを見せて貰い訂正を入れる。
麻衣と俺は学生時代に6年間、常に側にいた事もあり、建築物に関する思考が似ている。
だから、俺のイメージと似ているのもあり、少しいじるだけで完成した。
初日は5件、回る事ができた。
麻衣は俺と仕事をする事に対して、戸惑いがあるようだった。
最後にあんな別れ方をしたから、気にしてるのかもしれない。
だから、俺は仕事関係者として毅然とした態度で麻衣に接した。
馴れ馴れしくしない。
あの日の事を話題にしない。
俺の仕事と割り切って麻衣に接する態度に、麻衣は戸惑い傷ついてるように見えた。
それに気づき、麻衣はまだ俺に対して気持ちがあるのではないかと思った。
俺は、態度であの事実無根の噂が嘘だという事を麻衣に伝えたい。
毎週火曜日の午後は、麻衣と会える。
麻衣に建築設計士として活躍している俺の姿を見せたら、あの噂が事実無根だと悟ってくれるはず。
麻衣がそれに気づいたから、また、俺は麻衣に交際を申し込む。
交際だけでなく、プロポーズをしよう。
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