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噂に惑わされたわたしを許して side 麻衣
隼人と組んで、大島建設の新規大型建築物の内装設計の仕事を請け負うようになり、隼人が1年前ぐらいから多忙極まりない生活を送っていた事に気づく。
内装の材料の発注を行うために細かい採寸が必要で、隼人がいない現場に何度かお伺いし、現場監督さんや大工さん達とお話をする事があった。
建築設計士から無茶な事を指示されて腹をたてる人が多い中、隼人が関係する現場に関してはそんな事はなく、隼人の多忙さを気にかけたり、感謝を述べる声を多々伺い、隼人の真面目で誠意ある優しい人柄は昔から変わらないとわかった。
「柳瀬さん待って、滝川さんと大学の同級生なんですよね?」
隼人と長く仕事をしてる現場監督の内藤くんに現場に伺った時にいきなり聞かれた。
「はい。大学院修士課程まで、同じ学部同じ学科でゼミも同じでした」
6年間、わたしは優秀な隼人の側にいた。隼人のサポートでなんとか優秀な生徒が集まるゼミに入る事ができ、大学で学ぶ建築関係の知識に関して深い領域まで理解できた。
優秀な隼人はスーパーゼネコンの大島建設に就職できたけれど、隼人のおかげで大学時代の成績がトップ層でいられただけのわたしは、もちろんだけど不採用だった。
隼人は、優秀な建築設計士だ。
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