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「滝川さん、ここ2年ぐらい、フィーバーしたみたいにデザインが採用されて多忙でさ、彼女と会えてなかったみたいで、行き違いで別れたらしいんだ。
滝川さんの才能を妬む奴らが、彼女に滝川さんが女遊びをしてると嘘の情報を流して、それを信じた彼女に振られたらしい。
柳瀬さん、滝川さんの彼女と友達だったら、誤解だと伝えてまた滝川さんと寄りを戻すよう説得してくれないか。
滝川さんの身が潔白なのは確かだ。
月一の建設業界若手交流会には上司の勧めで参加しても、女性に対して、完全に無視してた。
彼女の事しか愛してないって言ってた」
隼人と親しい内藤さんから、実際の隼人の事を聞き、わたしは、隼人に、噂を鵜呑みにし、酷い事を言ってしまったと反省した。
「できる人間は生きにくいよな。周りは蹴落とそうと姑息な事をしてくるやからばかりで仲間なんてできにくい。
だからか、滝川さんは、俺や現場の人間に優しくて誠意ある対応をしてくれる。
柳瀬さん、滝川さんの元カノに連絡して、俺が今、話した事を伝えて欲しい」
内藤さんは、わたしに、それだけいうと、呼ばれて、仕事に戻った。
隼人の元カノはわたし…。
事実を知ったからと、隼人が今もわたしのことを好きでいてくれてるかはわからない。
一緒に仕事をするようになり、暑い夏を超え、過ごしやすい秋になっていた。
その間、隼人は、わたしと、一定の距離をあけ、友達として接してる。
移動する車内、仕事の話ししかしてない。
隼人の中に、わたしはもういないと思う。
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