浮気男に公開処刑 side 柳瀬麻衣(やなせまい)

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「あっ、葉山インテリアデザイン事務所の柳瀬麻衣さん」 「えっと、大島建設の河口さん?いつもお世話になってます」 いつも相葉さんの補佐でいる設計士の河口雅樹(かわぐち まさき)さんがわたしに気づいて近づいてきた。 「柳瀬さんって、コンパ行く人だったんだ」 「コンパのつもりでは来てないです。友達に、同業者の社員が参加するから、情報収集を兼ねて、気楽に参加するように言われたから来ただけです」 疲れた頭の中で、男漁りにきたと思われない理由を考えた。 22時過ぎに仕事を終え、駆けつけ、余ったバイキング料理のサラダと焼鳥と卵焼きを皿に盛りあわせ、空いてる席に凛子ちゃんと座ったわたし。 「遅れて参加したんですね。図面が届いたの19時で遅かったし、他の現場にも行ってたから、今日も遅くまで残業だったんですね」 こういう場で、仕事で関わりの人がいると面倒臭い。 「柳瀬さん、こんなところで会うとは思わなかった」 河口さんがわたしの名前をフルネームで割と大きい声で発したせいか、会社にいた相葉さんがわたしに近づいてきた。 女性が群がっていた1つは、相葉さんだったんだ。 群の大が解散し、もう1つの中ぐらいの群れに女性達は移動していた。 たぶん、あそこに、隼人がいる…。 「お疲れ様です。コンパとしては参加してないですよ。同業者の人脈を広げる目的を兼ねて来ましたが、残業でたった今、来た所です」 「あれこれ、改善点を入れたからな。いつも仕事が早いから今日中にしたけど、月曜日にするべきだったな」 「いえ、忘れたらいけないので、その日に仕上げないと気が済まないので気にしないで下さい」 あくまで、相葉さんとは仕事の関係と周りにわかるよう、仕事の話題をする。 たぶん、今日のモテ男1番は、相葉さんだ。 わたしを睨みつける女性達の視線が痛い。
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