640人が本棚に入れています
本棚に追加
相葉さんがわたしの前に座り、河口さんもその隣に座る。
仕事が終わったのに、仕事の話を始めそうな予感。
失礼になるから、料理を口に運ぶのをためらう。
「柳瀬さん、どうぞ、召し上がって。
俺、妥協せずに依頼するから、もしかして無理させてるかもしれないな。
柳瀬さん、他の仕事も何件か受け持ってるんだっけ?」
机に頬杖ついて、わたしをじっと見つめながら相葉さんが言う。
インテリ系イケメンのこのポーズは萌えるのか、後ろのギャラリー化した女性達が小さく黄色い声を上げる。
「失礼して、頂かせて貰います。
仕事だから、気にしないで下さい」
お皿に盛った料理を口に運ぶ。
見られてるのが恥ずかしい…。
23時半に解散だから、後1時間でお開きになる。
隣を見ると、凛子ちゃんと河口さんは、話が弾んでいた。
凛子ちゃんも小さい設計事務所でリフォーム関係の設計士をして、同業者だからか、話が合うのだろう。
「柳瀬さんは週末は何してるの?」
コンパでお馴染みワード。
週末に何をしてるかを相手に聞く。
「土曜日は仕事で、日曜日も半日仕事からの資格の勉強ですかね…。まだ、1級建築士の資格はとれてないんですよ…」
普通なら、惹くでなく引く、回答。
他の女性なら、料理や手芸、と答えるだろう。
最初のコメントを投稿しよう!