雨のち恋日和

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が、ついに線路が何本にも増えてきた──終点が近づいているのだ。 それに呼応するように、心臓がバクバクと乱暴に暴れ出した。 まるで告白でもするみたい、と私は内心苦笑する。 そうやって余裕を気取ってみても、鼓動は落ち着いてくれなかったけれど。 そして電車はホームに滑り込み、完全に止まった後ドアが開いた。 私は静かに息を吸い込み、あの人に声をかけた。 「──あの、すいません」
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