雨のち恋日和

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私の声に反応して、どこか神経質そうな顔がこちらを向いた。 あ、むちゃくちゃ警戒されてるな、と思う。 私は勇気がしぼんでしまう前に再び口を開いた。 「あの、これ使ってください!」 さっき買ったビニール傘と、水色のミニタオルを差し出す。 あの人は驚いた──いや、むしろ困惑した顔になった。当然だけれど。 「いや、でも──」 初めて聞いたその声は、思っていたよりも低く落ち着きのあるものだった。
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