雨のち恋日和

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何人かの乗客と一緒に、あの人は電車に乗り込んできた。 私はさっとそちらに目を走らせる。 今日はグレーのスーツだった。 相変わらずよく似合っている。 思わずため息が出そうになった。 少し目にかかりそうな、まっすぐで黒い髪。 悪目立ちしないブラウンのセルフレーム。 そしてその奥から覗く切れ長の目。 ニキビひとつないなめらかな白肌。
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