11章「彼女の笑顔が一番美しい」

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「おじさんをからかわないでくれ。嬉しいんだよ。今、この時間が…」 幸せなんて俺にはずっと程遠い話だと思っていた。 まさか自分にも大切な人ができるなんて、思いもしなかった。 「美穂ちゃんも順調そうだから、いつか近い将来、そうなることを願ってるよ」 まだ結婚してはいないが、人生の先輩面をしてしまった。 それを指摘されるかと思いきや、美穂ちゃんからは、 「そうですね。その時は式に来てくださいね。 あと、子供ができたら遊ばせまょうね」 …なんて、また未来の話をしてしまった。 一時期、俺は未来について話したくない時期があった。先々を考えては、不安になる自分から逃げていた。 でも、今はそんな未来の話をするのが、とても楽しいと感じている。 「そうだね。遊ばせようね」 美穂ちゃんとは無事に蟠りを解消することができた。これから親戚として、仲良くやっていけそうだ。 それから、着々と結婚の準備が進んだ。なので、会社にも結婚する旨を報告した。 するとすぐに社内に広がり、先輩からは、『おめでとう』と祝福された。 『ありがとうございます』と返すと、先輩は、『俺も真面目に婚活を始めたんだ。もう遊びは止める』と言っていた。 どうやら、先輩は改心したようで。安心した。 会社に報告を済ませたので、今度は招待状を出した。 すぐに返事が返ってきたのは良かったものの、返事の山で溢れ、とても自分達だけでは処理できなくなった。 そこで急遽、愛と美穂ちゃんに手伝いに来てもらうことになった。 美穂ちゃんはさておき、愛は妊娠さんだ。妊婦さんに負担をかけたくないと思ったが、愛から、 『私は身体を動かしていないと退屈なのよ。 それに、結婚式の経験者として、手助けできることはさせてほしいの』 …と言われたので、助けてもらうことにした。 周りの人達の手助けがあることに、心から感謝した。 これからも周りの人達を大切にしていこうと思う。
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