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隣で理穂が、「裕也さん、早いですよ。まだこれからじゃないですか」なんて言っていた。
そんな理穂も少し涙していた。やっぱり自分の結婚式ともなると、堪えることなんてできなかった。
「それでは、新婦様によるスピーチを、よろしくお願いします」
いよいよ新婦からによる、両親への手紙のシーンだ。
先に言っておこう。俺は絶対に泣く。いや、既にもう泣いている。
理穂のご両親も必死に堪えているが、娘が手紙を読んでくれるというだけで、既に泣きそうである。
うちの親も同じ表情をしていた。会場中、どこを見渡しても、皆同じ顔をしていた。
今日から俺達は晴れて夫婦となり、新しい第二の人生がスタートした。
これまで親には育ててきてもらった恩があり、たくさん感謝の言葉を伝えたい。
理穂は泣きながら、ご両親に感謝の想いを伝えていた。
理穂の想いに、俺の心が突き動かされて。気がついたら、俺は号泣していた。
理穂のスピーチも終わり、披露宴も無事に終了した。あとは友人達と二次会をやるだけだ。
俺達はラフな格好に着替え、二次会へと足を運んだ。
ずっとタキシードを着ていたせいか、ラフな格好になると、心が安らいだ。
「ウェディングドレスも、披露宴の時に着ていたドレスも良かったけど、今の格好も可愛いよ」
「ありがとうございます。裕也さんもタキシード姿、似合ってて素敵でしたよ。
もちろん、今の格好も素敵ですけどね…」
お互いにお互いを褒め合うという、恥ずかしい状況になってしまった。
二次会の会場に着くまで、無言で手を繋いで歩いた。
「会場に着いたね」
「ですね」
「扉開けるよ」
「はい。お願いします…」
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