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それから、永遠に愚痴が続いたため、上手くその場を切り抜けるために、適当に相槌を打って、「トイレに行く」と嘘をついて抜けた。
だって、今夜は新婚初夜だ。理穂と少しでも長く一緒に居たいと思った。
なので、トイレに行くフリをしつつ、理穂が居る方へと向かい、そっと腕を掴み、耳打ちした。
「理穂、早くベッドに行こう」
すると、理穂の顔と耳が真っ赤になった。
それを見ていた理穂の友人達は、顔をニヤニヤさせていた。
「理穂、私達のことは気にしないで大丈夫だからね?」
「たくさん楽しんでね。今夜は初夜なわけだし」
皆のからかいに、理穂の顔は更に真っ赤になっ
た。
「もう!変なからかい止めてよ。
皆が意地悪なので、お先に失礼します」
俺達は早々に二次会を抜けて、自分達が泊まるホテルの部屋へと向かった。
*
ホテルの部屋へと到着…。今から初夜を迎える。
初夜…とは言いつつも、散々してきたので、今更何を緊張しているんだと思うが、でも、結婚して初めての夜は今日しかない。
「柄にもなく緊張してる。これが初夜なんだって思うと、変に力が入っちゃってさ。カッコ悪いよな、俺…」
素敵な夜にしたかった。彼女が蕩けるような、熱い夜に…。
なかなか漫画やドラマのようには上手くいかない。
分かってはいても、ついカッコつけたくなってしまうのであった。
「もっと上手くリードして、スマートに、甘い夜にしたかったのに、そんな余裕すらない。今日は俺、上手くできないと思う」
抑えきれそうにない。次第に焦りが増し、どんどん余裕をなくしていく。
「裕也さんは、カッコ悪くなんかないですよ」
理穂が優しく俺を抱きしめてくれた。
理穂の温もりにより、少しずつ落ち着きを取り戻し始めた。
「理穂、ありがとう。もう大丈夫。理穂のお陰で緊張が解けました」
「それならよかったです」
「今夜は寝かさないから、覚悟しておけよ」
左手の薬指を見て、理穂が俺の奥さんになったのだと、実感することができた。
まさか、俺にこんなに強い独占欲があったなんて、知らなかった…。
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