空いた穴には幸せを詰めて

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 おばあさんの話が全てではないし、上手くいくのかも分からない。でも何だかそれは、するりと頭に入って馴染んでいた。  どこで何を買うのがいいか。  考えていると、隣で由利が足を止める。 「どーなつ、好きだよ」 「……それはお前が好きなものな」  一体どこから聞いていたのか。それともおねだりされているのか。  分からない由利の思考回路に、思わず笑いがもれる。 「だからね」 「うん」 「どーなつびよりにする!」 「……うん?」  そうか、象形文字。  大安売りでも開催されるか、はたまた空から降ってくるか。謎現象も三度目となれば、麻痺した脳内ですぐに妄想が広がる。 「祐輔!」  聞きなれた声、聞きなれない大声。  それが一瞬で、俺を現実に引き戻した。
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