空いた穴には幸せを詰めて

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 振り向くと、しょうくんだ、と由利が呟く。昇平は真っすぐ近づいてくると、手に下げていたビニール袋を差し出した。 「じゃが丸、買おうと思ったらドーナツ屋になってて」 「まじか」  そういうパターンか。  俺の好きなパン屋の商品。これはちょっと痛い。動物がまるかろうが幽霊が出ようが、直接的な被害はなかったのに。 「っはは、嘘だよ嘘」  昇平は珍しく噴き出して、手の甲で口元を覆った。笑いながらもう片手でスマートフォンを出して、俺に見せる。  4月1日(月) 11:59 「……エイプリルフール?」
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