4人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「ここで言うびよりっていうのは、ちょうどいい天気ってことだ。その前につく行事や行動をするのに適した天気。だからまるまるびよりっていうのは」
「まるまるするのにいい天気!」
うーん。
「そうだな」
そういうことにしておこう。
俺の心中には気づかず、由利はうんうんとうなずいた。
こっそりほっとして似非講義を終了し、冷蔵庫から納豆と卵を出す。インスタントの味噌汁を見つけて電気ケトルのスイッチを入れて、冷凍ご飯はレンジへ。
庭に出た由利を一応気にしつつ、情報番組を眺めながらご飯を食べる。歯を磨いて一息ついた時には、平和な休日パターンに突入していた。
入学前に出された高校の課題は終わっている。くせでポケットに入れたスマートフォンを出すと、画面が真っ黒であることを確認してしまった。
(分かってる)
誰からも連絡はない。その事実よりも確認してしまったことが嫌になって、スマートフォンは机に伏せた。
「見てー!」
庭へ出られるガラス扉を数十センチ開けて、由利が顔を出した。その両腕にはまるまるとした物体が抱えられている。
最初のコメントを投稿しよう!