5人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
帰宅すると、恭子はすぐに昭一が持っている袋を見付けて、
「あら? それは? だけどミミはいなかったのね……」
「いや。それがね……」
と彼は事情を話した。
すると彼女は、段々と笑顔に変わっていき、
「それはいいわね……。じゃ、今日の夕方は、私がミミを迎えに行くわ。
そして、そのおばあさんと友達になるわ。いいでしょう? おばあさん、一人で寂しいでしょうから……」
「なるほど。それはいいけど、恭子が行くのは昼間、ミミを貸しに行く時の方がいいよ」
彼女は、声を出して笑い、
「私が行くと、おしゃべりに花が咲いて、1時間くらいかかるから?」
チョコ菓子のためのお茶を入れた。
「それは分からないけど、夕方の女性の独り歩きは危険だからさ」
ふっと笑いを止めて、
「なーるほど」
「キミは一応、おばさんだけど、世の中、色んなヤツがいて、狙われないとも限らんから……」
「はいはい。そうします。じゃ、お夕飯の用意をしましょっと」
キッチンへ向かった。
昭一は、お茶が半分ほど残ったコップを持つと、仕事場に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!