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古い本
それは大きな本だった
二人の膝の上を台にしてようやっと読めるような、重厚感のある古い本だった
別にそれは卓の上に支えても
古くなくても
なんなら本でなくても、全然良かった
隣で捲られるたび、端が崩れて
ぽろぽろ ぼろぼろ 或いは ほろほろ
だから、膝をよせてそうっと覗くしかなかった
そこは暗い階段で
手燭はひとつしかなくて
頁は白紙で
塵や埃がお墓の燐みたく
きらきら
きらきら
光ってた。
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