百年目の家庭

プリンシパル

『東京港区で男性1人の遺体が発見された事件で、警視庁は男性の妻が関与している可能性があるとして取り調べている模様です。遺体の頭部には殴られたような傷が残っており、現場には凶器とみられるゴルフクラブが残っていたことから、警察は他殺とみて捜査を進めていました。』
朝から陰鬱な気分になるニュースである。私はマーガリンを薄く塗ったトーストを齧りながら、同時にテレビ画面にも齧りついていた。
一体どんな動機があって妻は夫を殺すのか、私には上手く想像が出来なかった。しかし、不幸のカタチは人それぞれであるから、私の想像力が及ばないのも無理はない。
この事件から私が学ぶことがあるとすればそれは、家庭とは脆く壊れやすいものだということだろう。不幸な家庭は、最初から不幸であった訳ではないのだ。
今のところ、私はまずまず円満な家庭を築いていると思うけれど、それがいつどんなきっかけて崩れても不思議ではない。ブリキのからくり人形に油を注してやるが如く、丁寧にメンテナンスをし続けなければならない。