カルダ・ヴラド

1/1
前へ
/121ページ
次へ

カルダ・ヴラド

「カルダ……どうして……」  首から血を流している彼女が言った。  ぼろぼろと涙を流しながら悲しそうに、悔しそうに。 「愛してたのに」  声もなく、口が動く。  こちらに伸ばしていた手が血溜まりに沈む。ぴくりとも動かなくなった彼女は死んだらしい。  生気を失った白い手に触れるとひんやりとした体温が分かった。  彼女を殺したのは私だ。  吸血鬼、カルダ・ヴラドが手にかけた。 --彼は良き隣人ですか?
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加