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「本っ当にすみませんでした!」
「あっ、いえ……」
俺に謝れても……むしろ、空にその言葉を言って欲しい。正直、俺自身『何もしていない』訳だったのだから……。
『ありがとう。お母さん』
――あの後、少女はそう言って笑顔のまますぐに逝ってしまった……。
しかし、娘が逝った……と知ると、女性どこかすっきりした表情になり、今では「これからはあの子の分まで生きないと!」とこちらが驚くほど、元気になっている。
まぁ、あとは余談になるのだが……。
この洋館は元々、女性の祖母が残したもので女性は少し離れた別のところに住んでいらしい。そして、久しぶりに掃除をしようと訪れた際に写真立てに入ったカードを見つけた様だ。
そして、そのカードを手にした瞬間、突然昔の娘さんの記憶ばかりが鮮明に蘇り、娘さんが亡くなったのは自分のせい……と攻め、ここ最近はずっと娘さんがいたこの『隠し部屋』と私物と一緒に暮らしていた……という事だったらしい――。
「しっかし……怖いな……そのカード」
俺は洋館の扉をゆっくりと閉めた。
「……基本、普通の人間が持つべき代物じゃない」
空はそう呟きながらカードを本の中に閉まった。
それは、自分も含め……というか俺も含めた『普通じゃない人間』は持ってもいい……と言っている気もするが……それを言ったところで、『俺が普通じゃない』と言っているような気持ちになるので、黙ることにした……。
「あっ」
「……何?」
「そういえば俺、空の連絡先知らないんだが……」
「…………」
今まですっかり忘れていたが、次会った時に言おう」そう思っていたことをようやくここで言う事が出来た。
「私は……別に分からなくても大丈夫……」
「…………」
しかし、分かってはいたが案の定、簡単に否定されてしまった。
「いや、そういう問題じゃなくって」
「あっ、夕暮れ……」
「……はぁ、全く」
完全に誤魔化された……と思いながらも俺はそのままゆっくりと空の歩調を合わせて歩いて行った。
見上げた空には綺麗な真っ赤な太陽が俺たちを迎えていた―――。
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