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「……で?」
「うん?」
「いや、だからどうだったんだ?」
「えーっと」
「すぐに結果が出るんだろ?」
刹那に視線を向けて言ったものの「お前しか受けてないんだから……」というそんな人の心を折るような……悪魔の言葉は名誉の為に飲み込んだ。
「ふっふっふ……」
「なんだ。不気味だな」
「酷いっ!」
「酷くはないだろ」
「でも、まぁこれを見ろっ!」
「……」
そう言って刹那は、おもむろに俺の前にテストを広げて見せた。
「すごいだろ! この見事な赤点回避っ!」
確かにテストの答案用紙は刹那の言う通り。ものの見事に赤点を回避してはいる。うん、回避はしているのだが……。
「まぁ……。確かにすごいな……」
ただ、昨日勉強して赤点ギリギリ回避……というのもどうかと思う。
俺の記憶が正しければ、このテストは前もって『プリント』が渡されており、今回のテストは、その『プリント』の中から全く同じ問題が出題される形だったはずだ。
つまり、昨日の時点でキチンと勉強をしていれば、先生がよほど悪魔でない限り『赤点』を取る……なんて事にはならないと思う。
「だよな! 頑張ったよな、俺っ!」
「…………」。
それなのに、なんでこいつは……こんなに自信満々な顔をしているのだろうか……正直、全く理解が出来ない。
「でも、本当に……ん?」
「なんだ。どうした?」
そんな事を考えていると、突然刹那は机に置いてある『あるモノ』に気づいた。
「その本は……何?」
「あっ、ああ。コレは……」
俺は刹那の言葉に素っ気なく答えたが、実は心の中で舌打ちをし、本を片付けなかったことを後悔した。
でも、本を置いていることぐらい本来はどうってことない。ただ、こいつに『気づかれた』ってことに問題があるのだ。
確かに誰だって本を借りたり購入したりし、それを学校に持ってくれば自分の机に本を置いたままにする事ぐらいあるだろう。だから、ほとんどは何事もなくサラッと流すはずだ。
しかし、刹那の場合――。
「なんとっ!? ついに瞬が『天体観測』に興味を持ってくれたんだね!」
「はぁ……」
いつもなぜか人の細かいところを観察し、オーバー過ぎるくらいの……このリアクションが、俺は苦手だった。
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