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第3章 山羊座
『あっははは! うわっ! 危ねぇだろ!』
『あー! 避けんじゃねぇよ!』
「はぁ……」
外から聞こえる同級生たちの声…………いや、上級生かもしれないし、下級生かもしれないその声を尻目に俺は、大きくため息をついた。
しかし、この笑い声には何がおもしろい……とか、特に理由はないだろう……。
「…………」
ただ正直ここまで大声で笑うほどの事は、俺の日常にはない。まぁ何はともあれ、俺は今日も学校に来ていた。
俺の通う学校は山の上にある。その為、秋である今、綺麗な紅葉が間近で見ることが出来る。
「ふぁっくしゅんっ!」
「うわっ、きったねぇな」
しかし、その反面春には花粉が大量に発生し、花粉症の人間にとってはかなり辛い時期が訪れる。
何にも良い面があれば、悪い面もある……。
普通に考えれば当たり前な話だが、良い面を見れば人はそれしか見なくなり、もし悪い面を見たならばその良い面は薄れしてまうモノだ。
ただ、その逆も……また然りだろう。しかし、分かっていても人は無意識にそういう風に感じてしまうモノである。
そこら辺は人間の悪い癖だ……と感じながら俺は窓から見える空を見上げた。
「……」
今、俺は学校の中の『とある場所』にいるのだが、正直な話。
俺は来なくても良いはずの場所だ。ではなぜ、俺がここにいるかというと……簡単に言えば『人待ち』をしているからである。
「へーい!」
「…………」
「おーい、なんだよ。このローテーションッ!俺がせーっかくテンション上げているっていうのにっ!」
「はぁ、うるさい。頭に響く……」
もう少し声のボリュームを下げる……という事が……出来ないのだろう……と諦めの表情と共に、この残念な宮ノ森刹那を見ながら小さくため息をついた。
「えー。なんでだよ?」
「……仕方ないだろ。察しろ」
「あー」
「…………」
俺がそこまで言ってようやく刹那は俺の疲れきった表情に気がつき、何かを察した様だ。
「ふーん、昨日もか……。大変だね」
「まぁ……。未だに慣れないがな」
「…………」
「…………」
もう、なんだかんだで『あの日』からもう二週間経った……。それを考えると、時間の流れの速さに驚く。
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