第11話

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第11話

… あの埠頭がまた見えてくる。 夢の中だと分かっているのに、あの日一緒にいた仲間のことを今でも考えている。 いつもそうだ。 船のなか、船長室の隅っこで踞るように座っていて 舵をとる威張った男の背中を見ていた。 まもなく近づくまばゆい光に目を覚ますのに、その光が与える衝撃に耐えられそうにない。 海の底に突き落とされる悲劇を自分だけが知っている奇妙な世界。 自分の夢のなかで自由に動けない。 康介はまた身を縮めて、船の先を見ていた。
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