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自分は今、夢のなかで北朝鮮からの脱北のために用意された韓国の漁船に乗っている。
目指す国はいつも日本だ。
モールス信号を送ってきたのは日本の海上保安庁から出た船だった。このボートの二倍ある大きさで、その白い船体が真夜中の海に奇妙に浮き上がる。
「退避せよ…」
康介はすでに記憶している夢の中でつぶやいた。彼らが送るモールス信号はいつもそう。
舵を握る男は混乱している。荒波で舵をとるのもやっとなのに、不審船として発見されてしまった。
康介は思い立って立ち上がるとモールス信号の発信を試みた。ほかの乗客たちはただ康介の手元を見ている。
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