目玉怪物の空想世界

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小学生の時に夢で見たある空想の世界が頭から離れない 奥にある山と広がる草原とピンク色の空、一つ目と足だけの怪物、怪物は皆揃って踊り、奥にある山からは日の出のような黄色い空がかすかに見える この世界がなぜか頭から離れず、時々思い出すように頭に浮かぶ 中学生になって社会の芽が出始めた時、周りの友達と大人が一つ目の怪物に見えた 周囲の人間を卑下するような感情を持った自分が嫌になり、わけもわからずトイレに駆け込んだ 少し落ち着いて、自分の優しさ故の行動だと思うと安心し、家に帰った その日の夢には久々にあの空想の世界が出てきた 一つ違うのは怪物が静止して僕のことを優しい目で見ていること 僕は頷いて黄色い空が広がる山に向かって走り出す ひたすらに走り山を越えると、僕を迎えるかのように似た怪物たちが待っていた そこの怪物は目を閉じていたが、確かに僕のことを認識していた お互いに見はしないが、存在は認識してくれている そんな新しい距離感を持つ世界に受け入れてもらって、僕は嬉しかった 次の日から僕は今まで会った馬が合う友人たちと会うようになった 優しさを持っていればどんな世界にも受け入れてもらえるが、それぞれ自分に合う距離感の世界があるのかもしれない そういえば夢の場所の地平線は青色だった。
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