魔王様のコンプレックス

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「ダーリン、逢いたかったッ~」 両手を拡げ、弾丸のように突進してくる。 うわわっ… と、帯刀さんは、あたかもその動線を読んでいたかのように、紙一重でスッとかわす。 そして、 ドンッ。 謎の衝撃とともに、次の瞬間。 「あたしを呼んでくれてアリガト。ウンッ、久しぶり過ぎて、死んじゃうかと思った♥️」 目の前で繰り広げられる、濃密なハグ。 「あら?ワッキー、ちょっと太った?逞しいオムネに醜いプニプニ脂肪が…背も随分ちびっこく…アラ?」 「………」 私だよ。 青いお髭がジョリジョリ痛い。 「ぎぃやぁあァァァァ ~~~!!ちょっと、ワッキー、誰よこの小娘はっ。 うぺぺぺぺぺっ、女。助けてワッキー、アタシ、女触っちゃった~~!」 失礼な。 どういう意味だ。 「さ、急ぐぞ二人とも。クライアントを待たせる訳にはいかないからな」 見れば帯刀さんは、はるか10メートル先をエレガントに歩いている。 「ンもうっ、相変わらずクールなんだからン。ちょっと待ってよ~」 …どうやら私は、入所者の皆様との交流目的だけじゃなく、帯刀さんの『盾』としても召喚されていたらしい。
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