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あの、帯刀家攻略の後。
慌てて帯刀家に引き返した我々によって、やっと助け出されたshinさんだったが、
『ムキーーーーッ、あんたら、私を一体何だと思ってるのよっ。
あれだけ体張ってやったのにいいっっ
もう二度と、お日さまの光を拝めないと思ったじゃないのーーー!』
よほど寂しかったらしく、助け出された直後は、すっかり野生化してしまっていた。
『むがーーーーーーッ、ふごーーッ!』
わーーーー、 キャーー!
誰か麻酔銃とってこーい…
そんな時。
スッ…
『ありがとう、shin。おまえのおかげで、外に出ることが出来たよ、本当に…ありがとう』
恐れることなく前に出で、猛獣に立ち向かうム◯ゴロウさんの如く、熱い抱擁を交わした帯刀さん。
ぎゅう…う♥️
それで彼は、すっかり機嫌を直してしまった。
『ムガ…ガ…、ワッキー…あはぁ…ん』
そこまでは良かったんだが…
その後、すっかり舞い上がってしまったshinの、想いは再燃したようで
“やっぱり、彼の運命の人は私だったのよおぉ”
などとのたまい、すっかり元のモクアミと化してしまった。
…今もホラ。
「ね、ワッキー?新婚旅行、どこにするう?」
帯刀さんの左腕をとり、ピットリ左側にくっついている。
「えー、そうなのー」
「マジすかー、社長さん、そっち系なんすかー。俺ヤバいかもー」
にわかにざわめく会場に、
shinさんは“ありがとう、ちゅっ”と投げキッスを送っている。
と、
帯刀さんのこめかみが、ぴくぴくっと、神経質に動いて…
「………ち」
「がーーーうっ!!!」
ばいーーーーーん!
アアアアアアアアアア…アイラビュー…
強烈なアッパーとともに、shinさんが、遠くのお空へ飛んで逝った…
「俺と!この…」
ぐいっ。
「ふおっ!」
手を引かれた私は、思わず寄声を発する。
勢いのまま彼は、叫んだ。
「この、こはしさんが!
7月、結婚します。結婚式には来てください!以上!」
ワアアアアアアアアアアアアッ、
おっめでとーーーーーー!!
その途端、ホール全体は割れるような歓声に包まれた。
…お店、貸し切りでよかった。
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