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「あ、わわわ。どどど…どうしましょう?」
ある日の社長室。
前日の夜、春彦からのラインでそのことを知った私は、青くなって社長室に駆け込んだ。
仕事時間中だと間違いなく絞め殺されるため、昼休憩、彼が社長室に1人になるのを狙ってだ。
彼もそのことは知っていたらしく、フーッと長いため息を吐くと、落ち着いた様子で淡々と語った。
「…何でも、光久がさ。
お母さんに『生きてるうちに孫の顔が見たい』とか云われたらしくって」
「ま、マゴ…!?」
♪タマーゴマゴマゴ♪じゃなくて…
ボッと顔を赤らめた私を見、彼はニヤッと意地悪く笑った。
「あ、何かやらしーこと考えただろ、今」
「なっ…べ、別に私はそんなっ…」
ポフッ。
突っかかろうとした私の頭に、彼は軽く手を置いた。
「ま、いいんじゃないの?
ちょっと早すぎる気もするけど。…どうせ言うつもりだったし…はい」
「は…い?」
彼は、伝票でも渡すような軽い感じで、私にポンと小箱を投げて寄越した。
「何すか、これ?」
スクエアの面をくるくる回しながら尋ねる。振ってみるとカラカラ音がする。
彼は、何気なく向こうを向いて、ひとつうーんと伸びをした。
「…ん~。
サプライズのつもりが、前のめりな親達のお陰で、すっかり色褪せてしまった何かだよ。
開けてみて」
促されるままに、小箱を開けると_____
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