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「うおっ!」
ま、眩しいっ。
中には、キラキラ光るでっかいダイヤの指輪が鎮座している。
あまりの輝きの強さに、思わず目を覆っていると、いつの間にか帯刀さんが席を立ち、私の傍に立っている。
「こういうのは、やっぱりちゃんとしとかないといけないと思って」
「え、え?」
事態が飲み込めない。
半ばボーゼンとする私の左手をとると、彼は、ニッコリ笑って薬指にそれを嵌め込んだ。
「はいできた。
おお、すごいな宝石商。ピッタリだ。こはしのサイズデータ、どこから拾ってきたんだろ」
「あああ、あの…これは一体…」
「_____見りゃ分かるだろ?」
あんぐりと口を開けたまま、彼を見ようと自分の手から目線を上げた途端_____
「うわっ」
私は、彼の胸の中に、ぎゅうっと閉じ込められてしまった。
「しよ。_____結婚」
「え」
えーーっと…
しばらく頭が回らない私に、彼はもう一度言った。
「あの時こはし、“一生面倒みて”って言っただろ?あれからこっちは、ずっとその気だったんだけど」
えーーと…
「…私、そんなこと言いましたっけ?」
「ああ、言ったよ。なんならその時の台詞、空で言おうか?」
「あ、いや。それはケッコウです。
…ですけど、あの…」
顔を上げようとした私を、彼はぎゅうっと抱きすくめる。
「…帯刀って、かなり時代錯誤だし、オヤジもかなり強烈で…お母さんも病弱だし。何かと苦労はかけると思うけど…」
いや、そんなもの。
こっちこそ、両親のぶっ飛び加減に関してはイーブンだと思ってる。
けれど…ホントに私でいいんだろうか。
「…保健所に、通報されませんかね?へんなの紛れ込んでるぞ、とか」
冗談めかして訊ねた私に、彼はクスリと微笑んだ。
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