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「フフッ、
それが、こないだね。
小松がこっそり話してくれたよ。
実は小松、あのあとすぐに、ジョリーを、愛護センターに引き取りに行ったんだって。
それで、ジョリーは小松の田舎の親戚に引き取ってもらい、22歳で大往生したらしい。
光久の手前、ずっと言えずにいて、申し訳なかったって」
「へえ…」
そうだったんだ…
小松さんってば、小憎らしいことするじゃないか。
ただの光久の僕だと思っていたけど…
何とも食えないお爺ちゃんだ。
「そっか…良かった…良かったねジョリー」
それを聞いた時の帯刀さんは、一体どんな気持ちだったんだろう。
きっと、凄く嬉しくて、ホッとしたに違いない。
それを思うと、なんだか無性に嬉しくなった。
嬉しくって嬉しくって…
「えへっ、ヘヘへ…へ…へっ…」
あ、あれ?おかしいな。
とうとう、涙まで出てきたぞ?
「おいおい、何でこはしが泣くんだよ。お前、ジョリーのこと全然知らない癖に」
彼は、懸命に目を擦っている私に、フッと笑いかける。
「う…は…はは、本当だね。…何でだろ。同胞相憐れむってやつ?…かなぁ。
じゃ…じゃあさ、私も、小松さんがいれば…安心ですね」
「…『同病』だろ。
ああ。屋敷の者はよく分かってる。
オヤジの対処は完璧だ。
でもな…それだけじゃないぞ。
内部からちょっとずつ削ぎ落としていって…そのうち俺がオヤジの実権、全部奪うつもりだから」
ふ、ふふふ…
帯刀さんが、暗い笑いを浮かべいる。
積年の恨みはそう簡単に尽きないようだ。
ブルルルルッ…
私は思わず身震いした。
やっぱり、帯刀さんが最凶にコワイ。
光久、とんでもないのを敵に回してしまったようだ。こりゃあ、先が思いやられるな…
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