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「だから。いい加減にしろっての」
ドコンッ。
バキッ。
クルクルクルクル…スタンッ。
shinさんにグー、私の後ろ頭にチョキをかまし、空中大回転。
男は、華麗にテレマークターンを決めた。
「ワッキー!」
「帯刀さん…イタタ、何するんですか、もー」
「そうよそうよっ。
未来の本妻と偽妻に…
これってドメスティック・バイオ…ごふぁっ!」
帯刀さんは、さらにshinさんにパーで一打を加える。
「相変わらず、ブキミな会話してんじゃねえ、見ろ」
はたと気づけば、いつの間にか、周りのみんながこっちを見てクスクス笑いをしている。
「ったく、お前らってホント似た者同士だよな」
「「どこがっ!」」
異口同音。
互いを押しやりながら、我先に訴える私達に、彼は深いため息をついた。
「…まあいいよ。
ホラ、ふたりとも行くぞ。
西中さんが、そろそろ“例のアレ”やるってよ。
みんな待っててくれたんだぞ。お前らのコントが終わるのをさ」
「えー、やっぱりやるんですか、アレ」
クルリと背をむけ、スタスタと会場の中央に向かう帯刀さんを追いかけていると、shinさんが尋ねてきた。
「ちょっとちょっと、アレってなによ。また例の、肩組んでサ◯イ熱唱?」
「やだなー、違いますよー24時間テレビじゃないんだから。
あ、ホラみんな動き始めましたよ」
「ああ、キタキタ。3人とも。
さ、早く並んで並んで」
宝物の、一眼レフを首に下げた西中さんが、私達を急かしだす。
「あ~、そういうノリねー、なるほどねー」
カメラが趣味の西中さんが創業から始めたという写真撮影は、今や会社の、1年の締めくくりの恒例行事だ。
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