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森の中のサニー
「私の事、覚えててくれたの?」
私は嬉しそうにすりよってきたリスを見て言った。
動植物を傷つけるつもりはないので、武器の光速剣はしまいこむ。
くりくりした目でこっちを見てくるリスのベックは、とてもかわいい。
私が初めてこの森に来た時に出会った友達だ。
手を伸ばすと、肩に上がってくる。
変わっていない。
思わず微笑んでしまった。
この子、根っからの癒し系だ。
「ベックはいい子ね。」
と人差し指で頭をなでると、気持ちよさそうに目を閉じる。
いつの間にか、他の動物たちも集まってきていた。
私の光速剣は、自然をかばう。
でも、周りを幸せにはできない。
その辛さと言うか、思いをカバーしてくれるのがこの子たちだ。
この森の仲間には、気を許すことができる。
「今日は久しぶりに、ここで寝てもいい?」
その言葉に、ベックがしっぽを丸めて私のそばに寄ってきた。
可愛い。
私は草の中に寝転がる。
あの疲れる大都会から解放された気分だ。
風に揺れる葉のささやきや花の言葉が、耳の中に入ってくる。
気持ちがいい。
やっぱり森はこうでなくちゃ。
わがままな人間にこの気持ちよさと動物のすみかを壊させたりなんかさせない。
私は目を閉じた。
「みんな、お休み。よい夢を……。」
今、動物たちは夢を見ている。
静かな夜。
星空の下で、サニーもベックも木も花も草も川も、素敵な夢を見ていることだろう。
そしてサニーは、再び都会をかけまわる。
リーン、リーン、リーン……。
鈴の音のような美しい星の寝息が森の上にふり、優しい月の光は、夢と一緒に幸せを運んでくる。
サニーの黒髪にまぎれるようにしてやわらかい草の上におかれたサングラスが、きらりと光った。
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