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暗い路地の恐怖
「あ、こっちの道ちょっと暗くない?」
アナが、細く暗い路地を指さして言った。
「あー、本当だー!」
「なんか面白そうじゃない?」
「入ろうよ!歩きなれた道よりは面白そうじゃん。」
「いいねいいね!もしかしたら近道かもだし。」
「ついでだからネットにアップしない?写真とかとってさ。」
「わー、それ最高!(笑)」
暗闇に全く恐怖を感じていないアナたちは、きゃはきゃは盛り上がりながら路地に入った。
「ちょっとー、なにこれ?暗くて写真取れないじゃん。」
「動画とってアップしたかったのにぃ~。」
「最悪ぅ~。」
その時、バサッと音がした。
「ん?何今の?」
「鳥じゃない?」
スタン。
アナたちの前に、一つの影が現れた。
黒光りするサングラス、片手に持った細長い棒のような剣のような武器。
ショートヘアの黒髪。
血のように赤い唇にかすかに煙がたっている煙草をくわえ、闇の中よく目立つ白いシャツの上に漆黒の上着を羽織っている。
バサッというのは、影が移動したときに羽織っている上着がたてた音らしい。
「……は?だれ?」
バカにしたような言葉をはくアナを、影……二十~三十代くらいの女性がサングラスの奥の目でじっと見つめた。
その口が開き、わずかに動いた。
小さな声がもれる。
アナたちは、なにを言ったのか聞き取れなかった。
しかし、次の瞬間……。
女性はアナたちの後ろに移動していた。
次々に倒れるアナたち。
女性はまた何かをつぶやいて、暗闇に消えていった。
その翌日、アナたちは路地で倒れているところを発見された。
怪我はないのに意識不明の状態で……。
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