それから

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
俺の敵はあの忌々しい魔法使い。それを頭の中で繰り返した。 まぁ、それもあって俺は炎嫌いなんだけど。スライムだった俺に魔法で炎とは腕力、剣に自信の無いやつだったのだろうな。 あぁ、考えたらイライラして来た。 ぺろぺろと己の身を舐める。所謂毛繕いってやつだ。 これをするとなぜだか落ち着く。 やっぱり猫……だからだろうか。 そうしていると雅が近くに来て俺の体を撫でる。 優しくて暖かい手だ。 「らーちゃん……私、学校……行かなきゃダメかな……」 ぽとり……とまた生暖かい水が降ってきた。雅を見上げるととても苦しく辛そうな表情をしていた。 何故そんな辛い思いをしてまで「学校」とやらを気にしているのだろう。義務なのだろうか? なんにせよ俺は元スライム。雅の辛さは1ミリも分からない。でも何故だろう。雅の辛そうな顔を見ると心がザワザワするような気がする。 「にゃー」 気にするな。そう伝えたくて声を出したがやはり俺の声は獣の声でしかない。それがとても歯がゆい。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!