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俺の敵はあの忌々しい魔法使い。それを頭の中で繰り返した。
まぁ、それもあって俺は炎嫌いなんだけど。スライムだった俺に魔法で炎とは腕力、剣に自信の無いやつだったのだろうな。
あぁ、考えたらイライラして来た。
ぺろぺろと己の身を舐める。所謂毛繕いってやつだ。
これをするとなぜだか落ち着く。
やっぱり猫……だからだろうか。
そうしていると雅が近くに来て俺の体を撫でる。
優しくて暖かい手だ。
「らーちゃん……私、学校……行かなきゃダメかな……」
ぽとり……とまた生暖かい水が降ってきた。雅を見上げるととても苦しく辛そうな表情をしていた。
何故そんな辛い思いをしてまで「学校」とやらを気にしているのだろう。義務なのだろうか?
なんにせよ俺は元スライム。雅の辛さは1ミリも分からない。でも何故だろう。雅の辛そうな顔を見ると心がザワザワするような気がする。
「にゃー」
気にするな。そう伝えたくて声を出したがやはり俺の声は獣の声でしかない。それがとても歯がゆい。
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