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プロローグ
ここはいわゆる剣と魔法の世界。勇者と呼ばれる種類の人間と、村人と呼ばれる人間、そして俺達魔族と呼ばれる種族、俺らを束ねる魔王様が存在している世界。
俺はそんな世界の最弱モンスター、スライムである。名前はない。
プルプルとした透明な体を引きずりながら雑草を食べ、「勇者」に怯える日々。
勇者とは魔王様を倒せる唯一の英雄……と人間達は言うが、それは違う。
あいつらはただの殺人鬼集団だ。
魔王様が何の罪もない人々を殺め、蹂躙したという記録が残っているがそれは人間が俺達魔族を好き放題殺めたからだ。
その仕返しに村一つ破壊し尽くした。
俺達魔族は干渉されなければ絶対に人間に襲いかかったりはしない。
何せ俺達はそこらの人間達よりだいぶ知能が発達しているしきちんとした文明、文化を持った種族だ。
この、いわゆる最底辺と言われる俺達、スライムの種族もな。
毎日毎日仲間が「けいけんちかせぎ」とやらで俺達を面白半分に殺していく。
それで、親も、友達も、何なら恋人……はいた事がないが、皆いつの間にか居なくなってた。
だから俺は人間が死ぬほど嫌いだ。
「お、ここの草原スライムいっぱいいんじゃん! ラッキー!」
と言ってる傍から人間の声が聞こえ、俺はぷよんぷよんと若干腹の立つ音を立てながら草地に隠れる。
人間に殺されたくはない。
せめて馬車に轢き殺された方がマシだ。
これが、いわゆる(フラグ)だなんて誰が考えただろう。
神様はなんて酷いやつなんだろう。神様を信じたことは無いが。
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