38人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、私はまた屋上にいた。
やっぱり、今日も休み時間は一人で、皆の視線が痛くて。
逃げるように何度もトイレの個室に籠った。
けど、ずっと同じ個室が閉まっているからか、誰かが「ここずっといるね、引きこもりかな。邪魔だわー」と笑っている声が聞こえた。
私の心を折るのに、十分な破壊力を持つ言葉だった。
だから、やっぱり、生きててもいいことないやって。
私は屋上に来た。
今日は雨だった。
屋根のない場所に一歩出るだけで、一瞬で頭からずぶ濡れになるほどの雨だった。
これなら、屋上に誰も来ないし静かに屋上から落ちることができる。
きっと、一息に、いける。
私は。
耳に嫌というほど響く雨の音を聞きながら。
一歩、踏み出した。
「うわ、今日雨凄いですね」
踏み出した足をひっこめた。
踏み出したまま足だけ濡らすのが不愉快だったから、ひっこめてしまった。
私はいつの間にか隣に立っている男の子へと視線を向けた。
「……だから?」
私が聞くと、男の子はこちらを向いた。
そして気まずそうに眉を下げた。
「びしょ濡れになるから……今日は自殺止めませんか?」
そう言って、えへ、と少し頬を赤らめて笑った。
うん、今日も。
自殺日和じゃない。
最初のコメントを投稿しよう!