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「…ぁ……あっ……ん………」
締め切った部屋の中を淫らな空気で満たす様に、時々喘ぎ声が響いた。
正直今はあんまり聞きたくなくて、その口を片手で塞いだ後、俺は彼女の中で体の中に溜め込んでいた苛立ちや欲望をさらけ出す様に動いた。
「声出すの禁止」
こんな自分勝手な欲望の見せ合いの様な行為の中でも、そう言った自分の声があまりにも冷静な事に正直多少の違和感はあったけど、そんな事はもうどうでもいいと思った。
彼女が涙目で苦しそうに俺を見ていたので、俺は手を離し、代わりに一瞬だけ唇を塞いだ。
「……ごめん、苦しかった?」
髪を撫でてやると、彼女は首を横に振って、もう一度俺にキスされる事をねだった。
彼女の名前は、凛。
俺より3つ年下の25歳で、さっきマンションに帰って来たと同時に携帯に着信があった。
今から会いに行きたいと。
遥香と同じで、月に数回会うだけのセフレなのに、遥香と違って何でも俺の事を聞きたがる。
「颯君の事、大好き」
凛はそう言っていつも、事が終わると俺の愛情を求めてくる。
「あー、それはどうも」
俺はいつもの様に適当に受け流すと、寝返りを打って、凛に背中を向けた。
凛は俺の背中に自分の体をくっ付けて抱きつくと、時々肩や背中に唇を付けた。
「ねー、私の事彼女にしてくれるって考えてくれた?」
「しない」
「えー、エッチはするのに?」
「別に彼女いらないから。最初にそう言ったのに、セフレでもいいって言ったのはお前だろ。それが嫌ならもう会ったりしないから他の男探して」
「颯君のバカ!」
凛は俺の肩を手で叩いて、それから拗ねた様に布団を被ってベッドの中に潜り込んだ。
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