38人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
プロローグ
真っ白な雪面がキラキラと輝きを放ち、
青い空の向こうに八ヶ岳の全貌が見える。
繊細なのに雄大な景色だ。
スノーシューで踏みしめる雪は少し硬いけど、
私の愛犬、コアラは楽しげにそこを進む。
って、愛犬?
犬なのにコアラ?
「ゥウウ…」
「ちょっと、アンタのウ○チ拾ってんのに唸らないでよ」
あぁ、なんで…。
こんな絶好のロケーション。
周囲は洋犬を連れたハイソなグループばかり。
私は “両親” の愛犬、雑種のオス犬、コアラを連れてそこを散歩している。
(犬連れスノートレッキングとか言うらしい)
「散歩にしては贅沢よねぇ。
あー、寒い!
もう、帰ろう、コアラ」
あ…。
こちらに向けられる数人の視線。
この名前、下手に注目浴びるんだよね。
「二人のときは呼び名変えてもいい? 」
「ゥウウ…」
「唸るなってば」
最初のコメントを投稿しよう!