吾輩の猫である

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吾輩の猫である

 カフェでゆっくりとした時間を過ごしていたはずなのに、どうしてこうなったのだろう。目の前に座る老紳士風の男はカップを口元へ運びながら、「どうかね」と言わんばかりの視線をこちらに向ける。 「えっと…これは?」僕はテーブルに置かれた一枚の写真を見ていった。 「吾輩の猫である」老紳士風の男はクルンと先でカールした髭を弄びながら言った。 「はあ…」 「それで、どうかね」 男はじっと僕を見ている。目を合わせないようにあちこちに視線をやりながら、答えを探す。「かわいい」と答えれば話が長くなりそうだ。だからと言って「可愛くない」などと言えば相手は顔を真っ赤にして怒るだろう。猫飼いは面倒だ。頭の中であれこれ考えをこねくり回していると、写真の猫が僕に語りかけてくるような気がして気まずい気分になった。
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