1 見ていて飽きないな。

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最初っからひっかかってはいた。 咲桜の存在は生徒に収まりきらないし、在義さんの娘だから護る、だけでは器が小さすぎる。 ……そのうち、咲桜にはキスしてしまうし。 咲桜が夢うつつで憶えていなかったから明言はしていないけど、どうにも触れたくてしょうがなくなるときがある。 けれど、自分はあくまで偽物婚約者。立場的に咲桜を護るためだけの存在。 駄目だ……足りない。咲桜の傍にいていい理由がない。 「……考え込んじゃったよ、あいつ」 「愉快だねえ」 楽しそうな幼馴染たちに目を遣ると、二人揃って吹き出している。 「はははっ、りゅうが情けねー」 「くくっ、ちょっと、どこにそんな面白要素隠してたのさ。愛しちゃうね、まったく」 ……自分は今どんな顔をしているのだろう……。 本当イラつかせるの得意だよなあ、こいつら。 「最近寝れねーんだよ。前にも増して」 イラつきが声にも表れると、吹雪が軽く瞳を瞠った。
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